2012年4月26日木曜日

【疾患&治療】クループ症候群

私が現在勤務している救急外来マニュアルで私が執筆している部分を少し改変して紹介します


注:2013年度版は下記内容をクリープスコアを考慮したマニュアルになります。
<2013年度のクループ治療>

吸気性呼吸困難、犬吠様(けんばいよう)咳嗽、吸気性喘鳴、嗄声などが見られる。まず、Spo2 を測定し、95%以下なら酸素投与をします。
酸素が必要、聴診器なしで吸気性喘鳴が聞かれる、陥没呼吸・肩呼吸などの症状がある場合は、小児科当直医にコンサルトする。犬吠様咳嗽はイヌがないているとか、オットセイの鳴き声と表現される。

症状が軽く、今は症状がない場合(very mild)

翌日必ず外来に受診するように指導した上で、リンデロン散0.15-0.2g/kgあるいはデカドロン錠 0.15-0.2mg/kgを1回分処方し、帰宅とする。デカドロン、リンデロンシロップがあれば、1.5mL/Kg単回投与

今咳が続いている場合(mild)

ボスミン 0.2ml+生食2mlの吸入
改善無ければ、20分おきに行ってよいが、必ず、心拍数のモニターを行うこと。
2回吸入しても改善が乏しければ、小児科当直医に連絡すること。

症状が消失したら、2時間ほど経過観察をし、悪化がないことを確認する。翌日必ず外来に受診するように指導した上で、リンデロン散0.15-0.2g/kgあるいはデカドロン錠 0.15-0.2mg/kgを1回分処方し、帰宅とする。デカドロン、リンデロンシロップがあれば、1.5mL/Kg単回投与

酸素が必要、陥没呼吸がある、聴診器無しで吸気性喘鳴がある(moderate-severe)

小児科医にコンサルトし、その間にボスミン 0.2ml+生食2mlの吸入する。

【Hack!】
1.受診時、吸入前後でcroup scoreを診療録に記載してあると、できるレジデントという感じがします。
クループスコアを自動的に計算してくれるページもありますが、自分で計算するといいでしょう。
2.経過が典型的ならレントゲンは不要です。呼吸が苦しいのに、ムリに後屈姿勢を取らせるのは、気道閉塞のリスクが増加します。クループ症候群で気管内挿管になったのは、ほぼ全例レントゲン撮影時という学会報告もあります。症状が落ちつくまで、救急外来から出ないでマネージメントするのが鉄則です。
3.これまで、軽い症状に吸入、重い症状にステロイドという対応がされてきましたが、2004年にThe New England journal of medicineでmild croup(croup score:2点以下)に対してのステロイド投与によって、再受診率や症状が有意に改善することが報告されてから、軽症でのステロイド投与を推奨しているマニュアルが増えてきました。


【→Croup ( Laryngotracheobronchitis)
-Clinical Practice Guidelines in The Royal Children's Hospital

<文献>
Bjornson, C.L.,T.P. Klassen, et al A randomized trial of a single dose of oral dexamethasone for mild croup. The New England journal of medicine.2004; 351:. 1306-13.

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