2012年9月21日金曜日

第18回病診連携症例検討会(2012/9/20)

参加しました。
以下、簡単すぎますがまとめました。


①多彩な合併症を呈したアレルギー性紫斑病(HSP)症例。
腎炎、腸重積、脳出血を合併した。
HSPあなどるなかれ。

②腹部診察にて偶然発見した固形腫瘍2例。
感冒症状、健診や予防接種の際も腹部診察の必要性を提案した。

③最近経験したBeckwith-Wiedemann症候群(BWS)の3例
BWS:巨舌、巨躯、腹壁欠損(臍ヘルニア、臍帯ヘルニア)の3徴。
出生時は上記症状顕著。成長と共にはっきりしなくなる。
片側肥大もあることががこれは著変しない。
⇒整形外科によるフォロー必要(側湾のチェックも )。
適当な時期に長い方の足の骨端早期閉鎖を。
悪性腫瘍(Wilms、肝芽腫など)の合併率が高い(4-21%)。
⇒定期的な腹部エコーとAFPなどの腫瘍マーカーのチェック必要。

④多魚種アレルギー小児のサケエキスによる減感作療法。
サケエキスでサケだけでなくアジのアレルギー症状出現閾値を上げる事ができた。

特別講演
ポリオワクチン
ポリオ生ワクチンの騒動で接種率下がった。
集団免疫効果を出すには80%以上必要だがそれ以下になってしまった。
⇒しっかり打っていこう。

ロタワクチン
2011年日本で始まった。
任意接種なので集団免疫効果が出るかはわからないが、
5年後位の有病率の調査が必要。
日本では脳炎脳症例なども年間40例程あるのでこれも減少するか調査必要。

2012年9月6日木曜日

続)第3回小児感染症夏季セミナーin安曇野


⑤乳児期早期の発熱にどのように対処するのか?
(長崎大学 森内 浩幸 名古屋大学 木村 宏)

日本は医療アクセスの良い国であること、Hib、プレベナーのワクチンの歴史が浅いこと、感染症の起因菌が海外とは違うことから海外のプロトコールをそのまま日本にそのままに当てはめて考えることは無意味である。そのため、日本版の新たな基準を作成しようとするのが今回のねらいです。新たな基準はみんなで作成中です。

海外のプロトコールの具体的問題点は、
→腰椎穿刺するのに帰宅させる? 
CTRX静注するのに入院させないの?
→時間外で白血球分画を鏡検下でできる? 
→グラム染色・便中白血球はどこの施設でもできる?

研修医の先生方は以下の代表的なプロトコールのおさらいは必須。
Philadelphia criteriaRochester criteriaBoston criteria

2012年9月2日日曜日

第3回小児感染症夏季セミナーin安曇野

行ってきました。6つのグループに分かれたワークショップとレクチャーでした。
充実したチューター陣、他施設の若手小児科Drと交流ができ非常に楽しく勉強できました。
来年みなさん行ってください!

各ワークショップで勉強になったこと。

①マクロライド耐性マイコプラズマ
(旭川厚生病院小児科 坂田宏、横浜南共済病院小児科 成相昭吉)
1.マイコプラズマ感染症小児136例(川崎医大、2005.6-2011.1、血清抗体価+real-time PCRで診断)のうち102例(75%)でマクロライド耐性遺伝子が検出。これらの48時間以内の解熱はマクロライド28%、ミノサイクリン90%、トスフロキサシン94%。(第59回日本化学療法学会総会)

2.旭川厚生病院のデータ(2010.9-2011.8)
マクロライド耐性でも半分はマクロライドのみで治療終了(効いたか自然経過)。

3.8歳未満のミノサイクリンは6日未満の投与ではほとんど黄色歯問題ないが、短い期間でも黄色歯出現することあり(歯にいくことは間違いない)(かなり古い文献、メモれなかった)。十分説明した上で使用すること。

②それって本当に感染症?
(富山大小児科 金兼弘和、岡山大大学院保健学研究科 小田慈)
1.原因不明の発熱の鑑別に自己炎症性疾患の鑑別を。特に全身型若年性特発性関節炎(sJIA)のとき。基本的に遺伝子診断。
2.家族性地中海熱:厚労省研究班による診断基準あり。腹痛、胸痛、関節痛。治療コルヒチン。
3.高IgD症候群:主に乳児期発症。皮疹、腹部症状、関節痛。メバロン酸尿症と鑑別必要(発作時尿検体保存)。
4.TNF受容体関連周期熱症候群:乳児期発症。
5.Cyropyrin-associated periodic syndrome:寒冷蕁麻疹、関節痛、皮疹、軟骨病変、感音性難聴、慢性髄膜炎、眼病変
6.Blau症候群:JIAと鑑別重症。
7.Periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis and cervical adenitis:5歳までに発症。診断基準あり。

③ポリオを含めた予防接種(私の参加したワークショップ)
(国立感染症研究所 多屋馨子)
1.接種率下がると、輸入時outbreakする(まだ流行国あり、ナイジエリア、パキスタン、アフガニスタン)。去年中国で21人輸入ポリオ。
⇒啓蒙して、しっかり予防接種。
2.単独不活化ポリオワクチン(IPV)と4混併用可だが、4混の在庫の問題でIPV1回でも打ったことある人続けて単独IPVをお願い。
3.麻疹:パルボウイルスB19、HHV-6/7、デング熱で麻疹IgM弱陽性。
⇒麻疹疑ったら、EDTA血、咽頭ぬぐい液、尿を保健所を介して衛生研究所へ。

④インフルエンザ
(札幌医大小児科 堤裕幸)
1.ワクチン:2歳未満の効果不明(Jefferson T et al. Lancet 365, 2005)。厚生科学研究でも1歳未満効果なし。

⑤乳児期早期の発熱(同僚の参加したワークショップ)
よろしく。

⑥小児血液培養
(長野県立こども病院総合小児科 笠井正志、新潟大小児科 斎藤昭彦)
1.小児での適切で現状に則した方法定まっていない。⇒作ろう!以下、笠井先生中心の多施設合同研究のデータ。
2.採血量:Cumitech Guidelineというのあるが量多すぎ(1kg未満に2ml)。この量達成できなくても陽性率変わらず。CLSIガイドライン(10kg約7ml)を達成すると陽性率上がる。1ml以上と1ml未満でも陽性率に有意差あり。
⇒目標はCLSI量で最低1ml?
3.汚染率はポピドンヨードの方がアルコールより高かった。
⇒アルコールで可?(しっかり消毒する意識の方が重要かも)。
4.陽性となったボトルは1268セット中、79%好気のみ、3%嫌気のみ(いずれもコンタミと判断)、18%両方陽性
⇒好気だけでもよいかも?
5.血流感染で2回目のみ血培陽性だったの1例のみ。しかも基礎疾患あり。
⇒基本的には1セットで、必要と考えた状況のみ2セットでよい?
6.上記は基礎疾患ありの児多かった。ルートキープ時の血培についても議論あり。
7.さらに多施設で症例数を増やす予定。