2012年10月29日月曜日

第16回東海小児感染症研究会(2012/10/27)

特別講演は北里生命科学研究所の中山哲夫先生で「ラボからみた予防接種」の方法でした。
海外では同時接種で打ってみて大丈夫だったという風に言えればOKですが、中山先生は予防接種の際に体の中で何が起きているのかを解析され、人種の違いなどから安易に海外のデータを輸入して予防接種を行うのではなく、日本人らしく緻密に解析を行い同時接種の安全な組み合わせを考えていくといった趣旨でした。
以下まとめです。

・H5N1 pandemicワクチン(全粒子不活化ワクチン(H5 WIV)+アルミ(アジュバント)):成人では発熱もなく安全に接種できた。しかし、抗体反応はイマイチ。小児は発熱率が高く安全性に課題。しかし、抗体反応は良好。⇒成人リンパ球で炎症性サイトカインの発現を見てみた。
・H5 WIVでIFN-α、IL-6、TNF-αが誘導、アルミを足すとIL-1βが誘導。
⇒自然免疫↑↑⇒発熱と免疫応答に関連あり??成人リンパ球でサイトカイン誘導起きたが抗体反応、発熱率が少ないのは不明なので今後更なる検討必要。
・他の現在有効なワクチンも全て自然免疫系の遺伝子発現の誘導あり。多少サイトカインの反応が異なる。同時接種の組み合わせによる違いは??

・同時接種のサイトカインを検討してみると、数が多くなるほど、特にPCV-7が絡むとサイトカイン↑↑。実際、同時接種の時はPCV-7が絡むと発熱多い。
⇒同時接種の際はPCV-7はずらすと良いのかもしれない。
⇒提案としては生後2カ月でHBV+Hib。その1週後にPCV-7+ロタ(ロタは免疫応答が異なるので同時でよいとした。)

・日本では過去、抗菌薬や解熱剤の頻回筋注により大腿四頭筋拘縮症が問題。今後同時接種で大腿に打つ上で皮下注と筋注の安全性・有効性の差を検討した。
⇒マウスに筋注、皮下注して、病理所見を見た。
・アルミなしは所見なし。アルミありは炎症反応を伴う肉芽腫が6カ月位で縮小。皮下注と筋注の組織像は同じで、筋拘縮症にみられた組織所見はなかった。
⇒現状のワクチンで皮下注と筋注の安全性に差はなし。

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